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『子どもの気管切開なび』という医療的ケア児・ご家族のためのWebサイトを作りました

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『子どもの気管切開なび』 プレスリリースは一昨日実施。今後もコンテンツ・機能の刷新と研究班の成果発表・取り組みへのサポート依頼などを推進していきたい。 小児の気管切開について、医学的に明確な診断基準やガイドラインが確立されておらず、ガイドラインづくりを早急に進める必要がある。また、作られた治療方針などが必要とする人々に適切なタイミングで届くような情報発信のプラットフォームが欲しかった、というのが事のはじまりだった。 丁度、僕がここに転職してきて暫くしたタイミング(およそ2年前)にこのプロジェクトが開始し、(僕の怠惰もあって…)ずるずると作ってきた結果この時期までかかってしまいましたが、、プロジェクト当初に描いた内容はほぼ総て網羅できたものと思われる。 2年前に企画したときの図 ふりかえってみると、それなりに考えとしては纏まっていると思う。その時は、末期・終末患者の心理状態を研究したキュプラー・ロスの 死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫) をうけて小児医療の研究者が考案した( “こころをつなぐ小児医療”(著:満留明久) )“障害を持つ子どもの親の心理的反応”を根拠に、ステップをイメージした。 第一期:ショック―この世の終わり、崩れ落ちるような感情の反応、感覚脱力感、無力感、よく泣く、どうしようもない気持ち・逃げ出したい衝動 第ニ期:否認・否定―「自分の子がどうして、なぜ?」「そんなはずがない!」doctor shopping、宗教・慈善事業への関心 第三期:悲哀と怒り、不安―怒りっぽくなる(誰にでも、特に医療従事者への攻撃)、子どもが/夫が/自分自身が憎い、自分の責任、子どもに愛着を感じることに躊躇う 第四期:適応―不安と情動の不安定さが薄れ、立場を理解・子どもを受け入れる、世話ができる、子どもと同一化 第五期:再起―子どもの問題に対する責任に対処、中長期的・積極的な受け入れ、両親の相互の支え合い ご存知のとおり、医療的ケア児は、そのケアの内容から幼稚園・保育園の就園のステップや、小学校への就学のステップにおいて教育現場とのすり合わせが上手くいかないことも少なからずある訳で。知的障がいがなく普通学級で問題のない児であっても、特別支援学級や療育につなげられ、行動の自由度が限られていってしまう現

新しいPJTを創ることにした~PatientsLikeMeの小児医療版~

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きっかけは、「小児医療におけるピアサポートって、なんなんだろう?」という問いを持った瞬間。あるとき PatientsLikeMe を見ていて、「同じ様に、自分と同様の疾患を持つ人とのつながりを助けるSNSは数あれど、なかなか現場で使われるような浸透度にはなっていない(少なくとも、自分のいる現場では)」ことに気付いた。 海外・国内における医療向けソーシャルメディアの現状 海外では、PatientsLikeMeが2006年3月に公開されてから数多くのソーシャルメディアが立ち上がっており、がんや生活習慣病など疾患・病態ごとのコミュニティ運営に特化したものも立ち上がってきている。一方、国内では比較的まだ下火で、志あるNPO・NGO、患者会の方々の自助努力によって疾患や地域ごとに広がって来ているものの、欧米のそれほどには一般的なコミュニケーションとはなっていないように見える。 また、患者・家族会については、昨今の情報化についていけていない団体も少なくなく。そもそも医療という現場自体IT化の遅れた現場であるということもあって、患者・家族会も同様に経済面・技術面がハードルとなっており、未だWebを介したコミュニティは不足しているのが現状だ。 目指す世界観は、ちょっとした話のしたい人でも安心して話せる雰囲気 そこで、自分なりに考えたのが「医療施設」という切り口・軸。普通、患者会などは「疾患/症状」で繋がることが一般的だが、それよりも「医療施設」つまり”同じ病院にかかったことのあるひと”との繋がりを第一に考えよう、といい発想を持った。 もし自分が当事者だとしたら、”同じ病気にかかったひとと繋がりたい”というよりは”同じ病院にかかったことのあるひとと繋がりたい”と思うだろう、という洞察があったためだ。 小児総合医療施設で入院する子ども・ご家族には、下記のようなニーズが有るはず。 自分と同じ施設/疾患で療養している/していた人に話を聞いてみたい 医療者からの指摘がほんとうに自分に合っているかどうかを確認したい 自分の気持ちを聴いていてもらいたい 自分の親しい人のための情報やサポートする方法を見付けたい そして、小児総合医療施設のSW・患者会・家族会・支援団体には、下記のようなニーズが有るはずだ。 教えたい 自分の経験を

”ぷしゅ よなよなエールがお世話になります”(著者:井手 直行)

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読んだのは、よなよなエールが好きだから、気分転換したかったから、ここまで有名になるまでのプロセスに興味が沸いたから…というところ。 また、少し読んでみると、いわゆる”ベンチャー企業特有のノリ”がさほど濃く出ている訳でもなく。ネット通販で業績を伸ばしてから、意図的にそうしたノリを取り入れていくプロセスが描かれる。ここに、自分自身少々”お堅い”組織風土にいるのもあって、参考にできるところがありそうな気がした。 知名度・予算・人材など頼れるリソースの無い中で、どうすれば新しい取り組みをスケールさせていけるのか?というのは、常に興味のあるテーマだ。何故なら、小児・周産期医療の医療機関に従事する自分が、そうした事業環境にいるからだ。 そこで、先述の事業環境に適した戦略(戦術?)と思われるランチェスター戦略を引用しながら、これについて学んだ時期を思い出しながら。今回の書評を書いてみることにした。それは、 『“星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則”(著:中沢 康彦)』 で書かれた手法を模倣したものだ。 ランチェスターの法則”弱者の戦略” 戦略的には『すぐ勝てる(効果検証が早い)/独自性の生きる/小さな市場セグメンテーション』を選択し、集中的なリソース投下をする。というのが、小さな組織が事業を伸ばすための原則だと理解しているし、自分はそうしている。 ランチェスターの法則を引くと、弱者(≒市場シェア2位以下のすべての企業)下記のとおりの戦略を採るべきである。 局地戦:スキマ市場やニッチ市場に競争の場を特化・セグメンテーション属性を限定し、トップ企業と戦う 一騎打ち:資源を集中し、トップ企業と戦う 接近戦:強者に先んじて、顧客ニーズの把握や顧客へのコミュニケーション強化(販売経路、営業活動など)を図り、戦略の確度(商品のヒット率)を上げる顧客に接近する 一点集中:攻撃目標をひとつに絞り、強者の弱点を重点的に攻める 陽動作戦:従来のパターン以外の展開を測り、強者を出し抜く 戦闘力の方程式は、ランチェスターの第一法則を引くと「武器効率×兵力数」。方や、市場規模の方程式があるとすれば「人数×単価」。 エールビール企業であるヤッホーブルーイングは1996年5月創立の新興企業であり、ビール市場では弱者も弱者。今でこそビール業界全体では