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独白

この虚無感は、何なのか 自分はやはり、世の中の底辺に立っていて、ふとした瞬間にそれを忘れて無邪気に生活しているのだけれど、それでも、常にどこかで、さっきまで有ったはずの希望が自分に無かったことに、気付かされる。 そもそも、上も下もないのかもしれない。ただ、自分は下にいる、底にいる、という事実だけは揺るがないまま、今も僕を縛り付けるのだ。 いい大人なんだし、などと考える。 それは、たしかに、そうだ。 気にすんな、などと思う。 でも、これは、クセだから。 底は、暗い。 夜の匂いだけがあって、風は吹かない―明けない宵闇の様だ。 何時か何処かで、人生の何かが破綻して、そしてそれがどうしようもないことで、誰のせいでもないようなことが起こるとすれば、それはそれで幸せだろうか。 分からない。 分からなくても、分かったふりをすれば救われるのだろうか。 それも、分からない。 人の気持ちを踏みにじって、自らの怠惰を赦して、過ちとこれまでを顧みないで、想いも自分を律する姿勢も持たないで、それでいて、崇高な思想の下に、いつか不潔な精神が浄化されて水彩画の様な生命に塗り変えられる、そんな都合のいい瞬間、来るわけがない。 恥を知れ― 僕は、底に捨てられた薄汚い雑巾なのだから。