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2月, 2014の投稿を表示しています

“Lean UX ―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン (THE LEAN SERIES) ”(著:エリック・リース)

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これは、“買い”である。 そもそもの、本書に向けられた僕の期待値は、非常に高かった。 昨今のリーンだストーリーだスクラムだアジャイルだといった流行の中、玉石混合の方法論やケーススタディがそこら中に散らばっていて、「うーんそれってリーンなのだろうか…」という疑義を持ったとしても「というか、そもそも僕の中の“リーン”は真に“リーン”なのだろうか…?」という哲学的な問い(=つまり良く分かってない)にふと立ち戻ってしまう―という行ったり来たりを繰り返していたからだ。 昔読んだ リーン・スタートアップ も、「柔軟に素早く回すPDCAサイクルの大切さ」が文章全体の趣旨だった、と記憶している (違っていたらごめんなさい) 。 そこで登場したのが本書である。泣く子も黙る (かもしれない) オライリー本の最新作として現れ、たったの150ページにもかかわらず(!)2,200円(!!)という歌舞伎っぷり。 実際の内容は、期待を超えるものでした。僕個人は、特にLean UXのプロセスについて語られた章立ての「課題ステートメント」「仮説ステートメント」「プロトペルソナ」「機能」という一連の流れに深く肯かされた。全く以て、このLean UXは成果重視型のフレームワークであり、これを実践できる組織がどれほど強いかを想像させるに十分な内容だった。 詰まるところ Lean UXとは、「“ユーザーの問題解決”を目的に定め、適切な手段を選び取る」思想 のことなのだと。僕は、理解しました。 その内また、読み直します。きっと、また新たな発見が待っていることだろう。

“「世界をよくする仕事」で稼ぐ― 三菱商事とドリームインキュベータで学び、サイバーエージェントに1億円で事業を売却した僕の働き方”(著:大澤 亮)

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エシカル消費という生活者の消費スタイルが 徐々に我が国にも定着しつつある昨今、HASUNAを初めとした様々なベンチャー企業がエシカル(≒倫理的な)志向を打ち出し、新しい様式のスタイル・ファッションを提供している。 そんな中、著者は慶応義塾大学経営管理研究科修士課程(MBA)修了・在学中に証券会社の比較サイトを立ち上げ、米国Gomez社に売却(2000年)、そして中国茶のECサイトを立ち上げ、サイバーエージェントに売却。その後ドリームインキュベータのビジネスプロデューサーを経て土屋鞄製造所に取締役として入社(2009年退社)。 現在は”えらぼう地球貢献”をスローガンに国内外のエシカル・ファッションブランドの普及を図るPiece to Peaceを設立、代表取締役に就任している。 Piece to Peace公式オンラインショップ 内容のほぼすべてが著者の実体験から来るもので、そのあふれんばかりの臨場感から一気に読むことができた。高校時代の同期にはTABLE FOR TWO代表 小暮 真久氏もおり、彼の存在が事業展開に一役買っているとのこと。尚、ドリームインキュベータ、土屋鞄の辺りは「え、そこまで書いちゃって良いの?」というぐらい事細かに筆が尽くされている。コンサルティング、事業経営の実際を少しだけ垣間見ることができる。 彼のキャリアを、ひとことで表現するならば―“与えるところから、総てがはじまった”そんな人生のようだった。 また、下記の図は本書の中にあるPiece to Peaceの事業ポートフォリオを表でまとめたものだ。自分自身の後学のため、ここに残す。

”真実はいつもシンプル:すべての男は消耗品である”(著:村上龍)と自己成長の第一歩

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昨晩、本棚にあったこの”真実はいつもシンプル:すべての男は消耗品である”(著:村上龍)が目に留まって「村上龍の趣味・志向性の発露以上でも以下でもない良書」 (※すんごい褒め言葉です) を久々に読んで、ふと閃いたことがありまして。はたと思い立ち、首記の件について実践してみました。 1)「自分のダメなところ」を書き出す 基本的に「○○ができない」という、不可能であることを書き出すことになる。 問題とは、自分の思い描くto be像と現状とのGAPから生まれる。したがって、「○○ができない」という事象を解決すれば理想の自分に近づける(はず)。というロジックだ。 しかし、自分にできないこと(でも、できなきゃならないこと)と正面切って向き合うなんて、すごくしんどい。疲れる。そして、「俺はどうしてこんなにダメなのだろう」と思い、ついには悩み出す― 2)「何故できないのか」を掘り下げる ここで、村上龍先生の名言を一つ。 悩む時、俺達には、情報か体力かそのどちらかが不足している。   わからないから悩むわけで、わからないのは情報が足りないのだ。   俺は、悩むのはしようがないと思っているが、悩むフリをしている奴は嫌いだ。 名言です。 ここの「情報」には、経験というやつも含まれると僕は思う。 その一方で、やったことがないからできない、というのは半分正解で半分誤りである。何故なら、経験がボトルネックの不可能は、経験者に話を訊く(若しくは本を読む)ことで、ある程度想像を働かせることができるからだ。そう、「情報」って、ニュースだけじゃない。他者、書籍、もしかしたら、昔の自分自身かもしれない。 とはいえ、ただただ身体が疲れているのであれば、じっくりと休息を取った方が良いだろう。因みに僕は、基本的に眠気と疲労に弱いです (すぐ寝る) 。人生のテーマは「無理はしない」なので。 3)問題解決の手段を抜け漏れなく書き出す この国では、無知、あるいは知識や情報が足りないことが場合によって罪悪になるという認識が薄い。 で、後は「こうしたら良いんじゃないかな」という手段・手法を考える。時にはフレームワークを使いながら、抜け漏れのないリストを作り緊急度・投資対効果に準じたプライオリティを付ける。これが、紛れもない、自分の成

”ビッグデータ時代襲来 顧客ロイヤルティ戦略はこう変わる(著:ラジャット・パハリア)”

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筆者はFacebook初のゲームアプリを提供した企業の創始者で、その後事業内容を一新。ビッグデータ、ゲーミフィケーション事業のコンサルティングを手掛けるようになる。 ソーシャルゲーム事業を拡大していくべきか、新たなビジョンを掲げたビジネスで世界を変えるチャンスを掴もうとするか―そうした事業転換を迫られたとき、彼は「最終的には、世界を変える方に決めた」そう述懐している。とても詩的な文章表現で、当時の臨場感が伝わってくるのを感じた。 さて、筆者の提唱する「ロイヤルティ3.0」なるものは、下記のような分類をしたときのもっとも先進的な顧客ロイヤルティの容である。 ロイヤルティ1.0:ポイントプログラム(オフラインのポイントカード) ロイヤルティ2.0:ダイレクトマーケティング(オンラインのeメール) ロイヤルティ3.0:人のモチベーション、ビッグデータ、ゲーミフィケーションから成る、顧客・パートナー・従業員に積極的にビジネスに関わろうとする仕組み(エンゲージメント)と忠誠心を作り出すこと 人のモチベーションには大きく内発的・外発的モチベーションに分かれる。一般的に、内発的モチベーションはクリエイティブな作業に向き、外発的モチベーションはルーティーンな作業に向く。一点、留意しておきたいのは、内発的モチベーションは外発的モチベーションより優れているという訳ではない、という点だ。良いモチベーション・システムは両方を兼ね備えているそうだ。 前者の内発的モチベーションには、以下の5つが挙げられる。 自律性―“決める” 熟達―“上達する” 意義―“何かを変える” 前進―“達成する” 社会的交流―“つながる” 後者の外発的モチベーションには、以下の4つが挙げられる。 外的調整―誰かが、何かをするように奨励している 取り入れ的調整―行動が自我、自尊心、自負心と結びつく(ex.ジムに通う、など) 同一化調整―特定のゴールや規則を、意識して個人的に大切なものとする(ex.宗教的な行動、など) 統合的調整―規則や行動を、完全に自分の中で消化している状態。 そして、これらのモチベーションの理解を、クオンティファイド・セルフ(自己の定量化)というコンセプトに基づくユーザーの定量的なデータ(≒ビッグデータ)によって深めつつ、ユーザーと