”誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる”(著者: フランシス・ウェストリー、 ブレンダ・ツィンマーマン)
ジャケ買い。買ったのは2009年ということで、積読歴7年ということになる。
これを買った頃、自分は学生だった。そのころ、考えていたのとはかけ離れた場所にいる。今、自分は広報・PRの仕事をしている。そこではじめて、漸く読了に至った。
この本が出版された背景に、デュポン・カナダ社のCSRの取り組みが存在する。デュポンは、ソーシャルイノベーションの成功要因を研究するため、カナダのマギル大学と共同で「マギル-デュポン・ソーシャルイノベーション・シンクタンク」を設立。このシンクタンクを率いるフランシス・ウェストリーらが、この本を記した。
自分の興味は、組織のPRに従事している人間として「どのようにすれば、社会的な運動・活動に広がるのか?」「そこに一定のルールはあるのだろうか?」といったものだった。何がトリガーになっているのか、イノベーション理論でいうところのキャズムを超えるために何が必要なのか。そうしたところが知りたい、そう思った。
結論めいたことを言ってしまうと、「そんなものはない」というのが答えだ。だが、それでもそれに近しい法則・方法のようなものがおぼろげに見えてくる。それは、『普遍的で不条理な情動を共有できる時代・文化・人間関係』が、大前提にあるのだということ。誰もがおかしい、そう思っていて、何かしらの行動に表れている活動ほど、そのティッピング・ポイントを超えやすい。
本書では貧困、社会格差、差別、失業、治安、いじめ、障害、環境など様々な社会問題に取り組み、成功し、失敗していく様と共に調査・分析を介したエビデンスが語られる。成功事例を礼賛する本は数あれど、その失敗の根拠まで掘り下げて論じているところに考えの深さが感ぜられる。
自分は、特に下記のケーススタディが印象に残った。
これを買った頃、自分は学生だった。そのころ、考えていたのとはかけ離れた場所にいる。今、自分は広報・PRの仕事をしている。そこではじめて、漸く読了に至った。
この本が出版された背景に、デュポン・カナダ社のCSRの取り組みが存在する。デュポンは、ソーシャルイノベーションの成功要因を研究するため、カナダのマギル大学と共同で「マギル-デュポン・ソーシャルイノベーション・シンクタンク」を設立。このシンクタンクを率いるフランシス・ウェストリーらが、この本を記した。
自分の興味は、組織のPRに従事している人間として「どのようにすれば、社会的な運動・活動に広がるのか?」「そこに一定のルールはあるのだろうか?」といったものだった。何がトリガーになっているのか、イノベーション理論でいうところのキャズムを超えるために何が必要なのか。そうしたところが知りたい、そう思った。
結論めいたことを言ってしまうと、「そんなものはない」というのが答えだ。だが、それでもそれに近しい法則・方法のようなものがおぼろげに見えてくる。それは、『普遍的で不条理な情動を共有できる時代・文化・人間関係』が、大前提にあるのだということ。誰もがおかしい、そう思っていて、何かしらの行動に表れている活動ほど、そのティッピング・ポイントを超えやすい。
本書では貧困、社会格差、差別、失業、治安、いじめ、障害、環境など様々な社会問題に取り組み、成功し、失敗していく様と共に調査・分析を介したエビデンスが語られる。成功事例を礼賛する本は数あれど、その失敗の根拠まで掘り下げて論じているところに考えの深さが感ぜられる。
自分は、特に下記のケーススタディが印象に残った。
- ブラジルのHIV/AIDS感染予防
- ブラウン氏のボストン犯罪件数減少運動
- バンクバーのPLAN(Planned Lifetime Advocacy Networks)
- ルワンダの悲劇
- カナダのメアリーゴードン氏の「共感の根」(Roots of Empathy)プログラム
- ダグ(情報)は命――アファール族の教え
バンクバーのPLAN(Planned Lifetime Advocacy Networks)の章で語られた、「人間関係が人生の質(QOL)に貢献しているのではなく、人間関係はQOLそのものである」という趣旨の詞に、胸が詰まる。