”チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困~”(著:新井 直之(NHKディレクター))
本書は、2012年10月19日に放送され、大反響を呼んだNHKの特報首都圏「チャイルド・プア ~急増 苦しむ子どもたち~」を書籍化したもので、著者は同番組を担当したNHK報道番組ディレクター・新井直之氏。
読んだ後、正にドキュメンタリー、という感想を持った。それだけの水準の臨場感があったのだ。
それは、現場での取材や聞き取りに時間を費やし、取材先である子どもや教職員・NPO・スクールソーシャルワーカーとの信頼関係を築き上げてきたからこそ実現した番組であり本書だったのだ―そんな道のりが、透けて見えるぐらい。
自分自身「働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む」を読んで、Living in Peace教育PJTに入り、そしてそれなりに結果にこだわってきているつもりだ。
しかし、徹底的な子ども目線を以て社会と向き合っていくには、とてもじゃないけど当事者である子どもとの接点が無さすぎる。だからこそ、施設建て替えによる職員雇用数の向上を通じて、子どもの養育環境を善くする、という投資対効果の高い中間支援に従事している、ということでもあるのだけれど。
当事者である子どもの視点。これを想像力で補うには、彼ら自身の声を聴く必要がある。対面で、一人の人間同士、直接向き合うことで知ることもできるし、既にずっと向き合い続けてきた人の声を聴くことで間接的に知ることもできる。こうした問題意識が、こうした本に手を伸ばさせるのだ。
内容としては、第5章“学校現場の限界”で語られる定時制高校の教職員の声、そして第6章“始まった教育と福祉の連携”で語られるスクールソーシャルワーカーの取り組みが新しいと感じた。特に、未だ知名度が低く成り手の少ないスクールソーシャルワーカーの存在と意義・仕事内容を、ここまで一人称で追った書籍はなかなかないのではないだろうか。
僕の職場のソーシャルワーカーも、「もしまた、自分が就職というタイミングまで過去に戻れるのならば、スクールソーシャルワーカーになりたかったかも」と仰っていた。それだけ、生きがいを感じられる仕事なのだと思うし、また現代で求められている人材なのだと思う。
医療、福祉、保育・教育、そして家庭・地域。子どもを取り巻く環境は様々だ。僕らは、その過渡期に生きている。大人は、子どもの小さな問題・課題を、できる限り見逃してはならないのだと、思う。
読んだ後、正にドキュメンタリー、という感想を持った。それだけの水準の臨場感があったのだ。
それは、現場での取材や聞き取りに時間を費やし、取材先である子どもや教職員・NPO・スクールソーシャルワーカーとの信頼関係を築き上げてきたからこそ実現した番組であり本書だったのだ―そんな道のりが、透けて見えるぐらい。
自分自身「働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む」を読んで、Living in Peace教育PJTに入り、そしてそれなりに結果にこだわってきているつもりだ。
しかし、徹底的な子ども目線を以て社会と向き合っていくには、とてもじゃないけど当事者である子どもとの接点が無さすぎる。だからこそ、施設建て替えによる職員雇用数の向上を通じて、子どもの養育環境を善くする、という投資対効果の高い中間支援に従事している、ということでもあるのだけれど。
当事者である子どもの視点。これを想像力で補うには、彼ら自身の声を聴く必要がある。対面で、一人の人間同士、直接向き合うことで知ることもできるし、既にずっと向き合い続けてきた人の声を聴くことで間接的に知ることもできる。こうした問題意識が、こうした本に手を伸ばさせるのだ。
内容としては、第5章“学校現場の限界”で語られる定時制高校の教職員の声、そして第6章“始まった教育と福祉の連携”で語られるスクールソーシャルワーカーの取り組みが新しいと感じた。特に、未だ知名度が低く成り手の少ないスクールソーシャルワーカーの存在と意義・仕事内容を、ここまで一人称で追った書籍はなかなかないのではないだろうか。
僕の職場のソーシャルワーカーも、「もしまた、自分が就職というタイミングまで過去に戻れるのならば、スクールソーシャルワーカーになりたかったかも」と仰っていた。それだけ、生きがいを感じられる仕事なのだと思うし、また現代で求められている人材なのだと思う。
医療、福祉、保育・教育、そして家庭・地域。子どもを取り巻く環境は様々だ。僕らは、その過渡期に生きている。大人は、子どもの小さな問題・課題を、できる限り見逃してはならないのだと、思う。
「他人から、もう20歳になるんだから働くことを考えなさいって言われると、うるさいなと思います。自分のペースでがんばりたいんですけど、どこから手をつけていいのか分からない。カウントダウン、切っちゃってます」(第3章“いつまでも自立できない―母親を失ってひきこもった19歳―”より)自分の中に、他の誰かの人生を宿して。