生きがいについて(著:神谷美恵子)

がんばりたくてもがんばれない人がいるのに、生きたくても自分より早くに亡くなってしまう人だっているのに、がんばれる自分は、どうしてもっとがんばらないのか。と思うと、うしろめたい気持ちばかりが、募る。

終末期の子どもとその御家族の話を聴く度、「俺は何をしているんだろう」と思う。生きていること、そのものが、罪悪感をともなったものになる。

自分はただの事務員なので、直接彼らのことを支えられるわけではない。だから、本人たちの声と医療従事者らの声をあつめて、何かしらの企画を実践していくことを繰り返すだけだ。企画のために必要な調査・分析も、実践も、投資対効果を追求した情報発信も、自分にならできると。独り善がりに、思い込んでいるからだ。

神谷美恵子「生きがいについて」では、下記のものを挙げている。

  • 生存実存感への欲求をみたすもの:審美的観照(自然、芸術その他)、あそび、スポーツ、趣味的活動、日常生活のささやかなよろこび
  • 変化と成長への欲求をみたすもの:学問、旅行、登山、冒険など
  • 未来性への欲求をみたすもの:種々の生活目標、夢、野心
  • 反響への欲求をみたすもの:共感や友情や愛の交流、優越または支配によって他人から尊敬や名誉や服従をうけること、服従と奉仕によって他人から必要とされること
  • 自由への欲求をみたすもの:自分の考え、感情、思いに基づいて自由に行動したい、という自発性
  • 自己実現への欲求をみたすもの:特殊な才能をもって文化の各方面に独特な貢献をする「創造のよろこび」
  • 意味への欲求をみたすもの:自分の存在意義の感じられるようなあらゆる仕事や使命

自分は、どうだろうか。恐らく、「自由への欲求をみたすもの」。

仕事に向かわせるのは、罪悪感と自己顕示欲とが綯い交ぜになった、自由への欲求。罪悪感、自己顕示欲から自由になりたいと願う、うしろめたさが、今日の自分を支えている。

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